はじめに
「何を、どの順番で、どの角度から」伝えるかによって、発信の印象はかなり変わります。
私たちの思考は、前提、背景、理由、感覚、価値観などが自然に結びつき、
頭の中では連続した全体として違和感なくつながっています。
けれども、これらはあくまで自分のこれまでの学習や経験などで、
時間をかけて培われたものであり「自分独自の世界」です。
同様に、相手には「その人の世界」があります。
この前提を理解しないまま、自分の頭の中にある素の状態の内容を、
そのまま主観的に伝えてしまうと、
受け取る側は、こちらの文脈を知らないまま渡されることになり、
不必要な負荷をかけてしまいます。
そこで必要になるのが、
相手が自分の思考を負荷なくトレースできる順序に整える「組み立て」(Logical Order)です。
「組み立て」の注意点
「初めて見た(聞いた)人でもわかるようになっているか?」
これは発信者として大事な視点です。
しかし、時々指摘されるような「中学生でもわかる言葉」にすることとは違います。
同じ内容を話していても、
「話がわかりやすい人」もいれば
「話がわかりにくくて要点がつかめない人」もいます。
その違いは、知識や情報の量ではなく、
伝えられる内容が、どれだけ「受け取りやすく」整理されているかにあります。
構築のステージ1「棚卸し」とステージ2「仕分け」で
どれだけ丁寧に仕分けし、取捨選択した内容であっても、
相手が理解できる形に調整されていなければ「わかる言葉」にはなりません。
用語や表現が”誰でもわかる”平易なものになっているか、ではなく
発信を、第三者目線で客観的に組み立てることです。
場合によっては、論理の順序に合わせて情報を補足し直すことがあります。
「良い文章は削ることから」と思い込んでいると抵抗がある作業ですが、
これは言葉の増減が目的なのではなく、
相手が自分のロジックをスムーズにトレースできるように「段差を減らす」作業なのです。
テンプレ活用は慎重に
一般に「発信のテンプレ」と呼ばれるものが数多くあります。
テンプレが広く採用されてきた背景には、一定の合理性がありますが、
その活用には注意が必要です。
テンプレの特徴はその「型」にあります。
型に合わせるために、自分の発信を「変形」させるのが、果たして適切なのか。
そこを考えて、活用の是非を判断する必要があります。
「時短」や「定評がある」といった利便性に流されず、
自分の発信目的に整合する形を選ぶという、主体的な判断が大事です。
発信を「構築する」ということ
SNS発信であれ、会議やプレゼンテーションであれ、
発信するときに忘れていけないのは「誰のためか」ということです。
どんなに「伝えたい内容」がクリアになっていても、
そして「今伝える内容」が仕分け整理されていても、
相手が受け取れる形に整っていなければ、ここで崩れます。
つまり「その発信の構築が適切ではなかった」ということになるのです。
この次のレイヤー「伝達」で、より深掘りをしますが、
この構築レイヤーでの確認は、自分が発信したいものと届ける相手をクリアにし、
頭の中で「設計図案」を引くことです。
これがないまま建設に入っても、その”橋”が通れるものになるかは保証できません。