はじめに
言葉は、いきなり整うものではありません。
伝えようとしたときに詰まったり、まとまらなくなったりする背景には、
自分の中にある「材料」が、まだ「見える形になっていない」という理由があります。
言葉にするということは、思考や感覚を可視化する「翻訳」のプロセスです。
その翻訳を成立させるためには、まず「何を翻訳するのか」を把握する必要があります。
ここが、言葉の構築プロセスの最初のステージになります。
確認の必要性
自分が何を感じ、考え、理解しているのか。
これらは、普段は無意識の層にあります。
言葉にしようとした途端に難しくなるのは、言語化する前段階で、この無意識層にある思考の確認が行われていないためです。
ここでいう確認とは、「ある/ない」を、なんとなく見ることではありません。
自分の内側にあるものを、冷静に、能動的に見に行く行為 です。
自分が何を伝えたいのか。
それに関連する知識、情報、経験をどれだけ持っているのか。
これらを一度「棚卸し」します。
この時に注意するのは、次の3点:
- 評価しない
- 批判や否定をしない
- 不足を探さない
「今ここにあるもの」を現実的に見ていくことです。
棚卸し項目
棚卸しで確認するものは、次の4つです。
- 知識量
- 語彙力
- 届ける相手
- 状況(TPO)
知らないこと、理解が浅いことを、語彙や言い回しで補うことはできません。
確認作業としての「自分の棚卸し」は、自分を偽らないは発信をするために大切な工程です。
ここは、自分の内側にある言葉の材料の所在を明らかにする工程です。
棚卸しの注意点
「棚卸し」をしていると、自分の不足部分に意識が向くことがあります。
「知識/情報が足りない」
「語彙が弱い」
「表現が単調だ」
といった不備不足に意識が向くと、その「何か」を探しに行ってしまうのです。
こうしたインプット・モードに切り替わると、その結果として、肝心の動きが止まってしまいます。
しかし、私たちがしたいのは アウトプット です。
インプットに意識が移行してしまっては、本来の目的から外れてしまうわけです。
棚卸しでは、自分が持っているものの
過不足を評価しないことがとても大事です。
そして、次のステージへ
書き始める前に、話し始める前に、
発信の目的を定め、「自分の中にあるもの」を冷静に確認する。
それだけで、言葉は次の段階へ進みます。