「なりたい自分」と「ありたい自分」

理想とする「自分」はありますか?

こうなりたい。
こうだったらいいな。

そんな風に思う自分の姿がありますか?

ところで、「なりたい自分」の他に、「ありたい自分」という表現もよく聞きますよね。
実はこの2つは、似ているようで微妙に違っているんです。

なりたい自分

未来の自分。目的/目標が決まれば、現在の自分との“ギャップ“を確認し、その“埋め方“を考える。変化に向けて進む。

<例>「冷静に判断できる人になりたい」なら、感情的になるのを抑え、状況、事実関係、データなどを確認してから意見を述べる、など。

ありたい自分

今の自分。理想とする姿を“鏡“のように使い、自分の言行に反映させる。姿勢。在り方。

<例>「信頼される人でありたい」なら、自分にとって「信頼」が何から生まれるのかを考え、それができている姿を理想像として、相談ごとを真剣に聞く、聞いた話は他言しないなどの態度をとる、など。

このように、「なりたい自分」と「ありたい自分」というのは、似ていますが別物です。
でも、だからと言って切り離して考えるものでもありません。

それぞれ、どんな意味で、どんな捉え方なのかを確認しながら、「なりたい自分」と「ありたい自分」を、今回と次回の2回に分けて確認していこうと思います。

今回は、「なりたい自分」についてです。

「なりたい自分」になれるかは、設定次第

こうなりたいと思ったからと言って、必ずしもそうなれるとは限りません。

「なりたい」と思う未来の自分を想定し、今の自分とのギャップを埋める行動を実際に起こさない限り、そこに到達するのはまず無理です。

つまり「なりたい自分」になるには:

1.具体的な目標設定

2.現実的な現状把握

3.1と2の差を埋める、実行可能な行動計画

この3つが必要です。

ところで、「痩せたいな…。いや、痩せないと!」と思うのは、私の場合すでに通常運転なのですが、時々真面目に生活習慣を見直そうと頑張ってみます。…が、なかなか上手くいきません。

別にモデル体型になろうとしてる訳でもないので「3kgくらい体重減らしたいな」という程度の「痩せたい(なりたい姿)」でしかないのですが、成功しないのです。

「3kg痩せたい」という希望を「なりたい自分」に置き換えると、「今より3kg痩せた自分」となります。
ただ、この「今より3kg痩せた自分」は、実はとてもイメージしにくいのです。

3kgという物理量で表現するので、具体的で客観性があるように見えます。
でも、3kgなんて実際に体重計に乗らないとわからない程度で、服のサイズが変わるほど“目に見える“ものではありません。

しかも「なぜ、3kg痩せたいのか?」が不明ですし、さらに言えば「なぜ、痩せたいのか?」という理由が見当たりません。

妥当な線で「健康のため」だとします。
そうすると、例えば:

– 人間ドックなどの検査結果で指摘を受けたので、症状に合わせて医師の指導のもとでの食事療法や投薬などが必要。
– 思うように体が動かないので、日頃から軽い運動を心がける。

といった対策になるかもしれません。

これだと、「健康のために痩せる」は必須項目ではないでしょうし、そもそも「3kg」という数値設定の根拠が全く見当たりません。

もし「半年後の結婚式で綺麗にドレスを着たい」という理由なら、明らかに見た目の問題ですから「kg」ではなくサイズ的に「cm」を意識すべきであって、ダイエットが必要になるか、筋トレなどの運動で身体を絞るか、方法も変わってきます。

(注:言うまでもありませんが、私が半年後に結婚する訳ではないですよ!)

つまり「なりたい自分」が「3kg痩せた自分」となっている時点で、健康の意味でも、ドレスを綺麗に着る意味でも、設定ミスとしか言いようがないのです。
しかも数字以外の具体性がありません。
これでは到達点が見えにくいので、結果が出しにくい、つまりは「痩せない」のです。

「なりたい自分」になれない原因は、動機と到達点の不明瞭さから起こる設定ミスです。

それでも、とりあえず行動を起こして、仮に何かを達成できたとしても「思ってたのと違う」となってしまうのです。

上の例で言えば、食事を減らして実際に3kg減ったとしても、目標数値達成以外の満足感はないですし、それで何が得られたのかも不明です。

本当の「なりたい自分」を見つけるには、「なぜそうなりたいのか?」という自問を何度も繰り返して「これ以上は無理」というレベルまで掘り下げる必要があります。

自分が、例えば3年後に、「こうなっていたい」と思う「なりたい自分」を書き出してみると、自分が本当に求めているものが見えてきます。

「なりたい自分」のなぜ分析
製造業で使われる「なぜなぜ分析」とは別です。混同せず、これはこれとして見てください。

大事なのは、自分が「本当に」望んでいることを知り、設定を間違えないことです。

掘り下げた結果、自分が「なりたい」と思っている姿が象徴しているものが分かれば、もしかしたら違う目標設定になり、違うアプローチをした方がいい可能性があります。

「なりたい」という以上、自分が心から納得できる、理想の自分を目指したいですよね。

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あなたは、1年後、3年後、5年後、それぞれどんな自分に「なりたい」ですか?

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NK