「不安」は敵じゃない
不安は様々な場面で出てくる、とても厄介な感情です。
漠然として捉えどころのないものに思われますが、これは人間の生存本能ですから、あって当然、無い方がむしろ不自然です。
決して気持ちの良いものではありませんが、自分の敵ではありません。
『それをやったら、何かとても悪いことが自分の身に降りかかるぞ!』という警告をしてくるのが、「不安」という過保護な存在なのです。
人間関係の不安
日常生活の中での「何かとても悪いこと」は、ほとんどの場合、人間関係に絡んでいます。
周りからネガティブな評価を受けるのは、自分の社会的な立場を悪くして、生きづらさが増すからです。
失望されるんじゃないか?
怒られたり、叱られたりしないか?
嘲笑されないか?
嫌われないか?
悪目立ちしないか。
と、失敗そのものより、周りからの反応が怖いのです。
でも、実はこれは、自分で作り上げた妄想でしかありません。
本当に周りからそう思われるかなんて、やってみなければわからないですし、実際にやってみた後でも、どう思ったかなんて、その人に聞いてみなければわかりません。
それに、相手がどんな感情を持ったとしてに、それはその人の問題です。
相手が何を思って、どう感じるかなんて、その人自身が決めることで、こちらが勝手に想像して先回りするのは、お門違というものです。
自分は世界の中心ではありません。
相手の気持ちや考えを左右できるだけの影響力が自分にあると思うのは、無意識だとしても僭越でしょう。
意識したいのは、相手の気持ちや反応ではなく、自分自身の気持ちの在り方です。
自分の意図や行動に一点の曇りもないのなら、行動の結果は結果として、事実かどうかもわからない解釈(妄想)を加えずに、”ありのまま”受け入れるだけのことなんです。
完璧主義は不安の表れ
完璧主義も不安の表れのひとつです。
より良い成果を目指す意識は素晴らしいのですが、それがブレーキになってしまうことがあります。
例えば、資格を取ろうと1年以上前から勉強しているとします
それなのに、年に1回の試験当日に「まだまだ勉強が足りない。今のままじゃ無理だ…」と試験会場に行かなかったら?
もし合格していたら、そこからの自分の人生は、新しいものになったかもしれません。
それのに、受験しなかったせいで、来年までチャンスを待たなければならないのです。
1年の先延ばしは、自分の”新しい人生”が1年減ることです。
それに、仮に不合格だったとしても、受験しなかったのと結局は同じことです。
そこで失うものが、何かあったでしょうか?
「まだ準備ができてない」というのは、完璧主義者にありがちな「自分への”やらない”言い訳」です。
それより「80%完璧」で十分じゃないですか?
行動した人の勝ちですよね。
「不安」をブレーキにしない
「不安」は、様々な形で私たちの生き方に影響を与えます。
困難や障害であれば、すぐに”敵”だと分かるのですが、そうではないので、扱いがより厄介なのです。
不安は、ワーストケースのシナリオを頭の中に作り上げ、「やらない」方向に持っていこうとします。
何もしなければ、今のまま何も変わりません。
つまり「安全」です。
不安の視点から言えば、「やらない」という選択は正解なのです。
でも、それでは人として何の成長もありません。
自分らしい生き方も、永遠にわからないままです。
初めて立ち上がろうとする赤ちゃんを見た親が、
「危ない! 静かにベビーベットの中にいなさい!」
と言って、赤ちゃんを抱き上げてベットに寝かせるでしょうか?
もちろん、そんなことはしませんよね。
何かあれば、すぐに助けられるようにしながら、頑張ろうとしている自分の子供を誇らしく思い、応援して見守ると思います。
不安は否定すべきものではありませんが、だからと言って自分の行動を制限する理由にもなりません。
不安は「万が一に備える」ことを促す、味方にもなり得るのです。
何事でも、やる前から自分の可能性の芽を摘んでしまうなんて、勿体なさすぎます。
「ありがとう。ちゃんと注意するね」
「失敗しても何とかなるから大丈夫だよ。安心して見ててね」
と、過保護な親を相手にするくらいの気持ちで大丈夫。
少し外側から自分の置かれた状況を観察して見ると、実はそこまで心配するようなものでもなかったり、何を準備すべきかがわかってきたりします。
不安を認める。でも、不安には屈しない。
不安に自由を奪われずに、心の向くまま、自分の可能性を生きてみたいと思いませんか。
私からの提案
「不安についてのマインドセットはわかるけど、実際問題として、不安なものはやっぱり不安」
そうですよね。
理屈はともかく、不安はどうしても感じてしまうものですし、気持ちもふさぎます。
そこで…、なのですが、私の経験も含め、ちょっとした提案を…。
あなたはどんな時に不安を感じますか?
そして、不安を感じた時、どうしていますか?
良ければ自分の経験など、コメントしてもらえると嬉しいです。