「ふたりのロッテ」
「ふたりのロッテ」というお話をご存知ですか?
ドイツの児童文学作家エーリッヒ・ケストナーが1949年に発表した小説で、ウィーンから来た「ルイーゼ」とミュンヘンから来た「ロッテ」という2人の少女が、サマーキャンプで偶然に出会います。
自分達があまりに酷似していることに驚き、お互いの境遇を話し合ううちに、自分達は実は双子で、両親は離婚後、それぞれにシングルファーザー、シングルマザーとして子供を1人ずつ引き取って育てていたのだ、という事実に辿り着きます。
最終的には、ふたりの努力で両親も誤解を解いて和解し、再婚して、別々に生きていた家族はまたひとつになってハッピーエンド…となります。
これは、なかなか象徴的なお話だと、私はいつも思ってきました。
「ふたりの自分」
自分の中にふたりの「自分」がいると感じたことはありませんか?
- – ポジティブな自分と、ネガテイブな自分。
- – 他人のために動ける自分と、自己中心的な自分。
- – 感謝する自分と、ひがんだり、妬んだりする自分。
- – 謙虚な自分と、目立ちたがりの自分
こうした、まるで対極にいる「ふたりの自分」が頻繁に入れ替わると、落ち着かない不安な気持ちになってきます。特に良くない感情の時には「こんな風に悪い感情を持つべきじゃないのに、私って…」と自分を責めてしまったりもします。
考えてみると、小さな子供の頃は、こういった二面性に悩まなかったはずです。というか、そもそも「自分」と「他人」という区別さえも特に考えてなかったと思うのです。
小さい頃は、常に「あるがままの自分」でした。
楽しい、嬉しい、嫌だ、面倒くさい…。
良くも悪くも「その時、その人、その物事」に対する感情で、感覚的に生きていたはずです。
それが、だんだん大きくなるにつれて「あるべき自分」という概念が入ってきます。
「あるがままの自分」に対して、大人からの「ダメ出し」が出るようになるからです。
大人から注意を受けるたびに、私たちは立ち止まって考えました。
「え? 私、間違ってたんだ。じゃあ、正解は?」
そうやって考える回数が増えれば増えるほど、どんどん自分に自信をなくしていきます。そして「自分はダメな人間なんじゃないか」という疑惑も生まれてきます。
もちろん、ダメ人間なんてなりたくありません。
だから、思考錯誤してそれを何とか直そう、つまり「正しい自分」になろうとします。
この「正解探し」なのですが、実は決して「正しい人間」になろうとか「立派な人になろう」という理想主義で起こるのではありません。
これは「愛情」や「承認」を求める心の叫びなのです。
「人前ではおとなしくしてなさい!」
➡︎ 静かにしてるから、私を好きになって。
「泣くのは弱虫だけだ!」
➡ ︎泣かないから、認めてちょうだい。
大人の言う「理想」を体現するために、本来の「自分」は「好かれない子、認められない子」として、どこか心の隅っこに追いやられてしまいます。
こうして「あるべき(理想の)自分」と「本来の(否定されるべき)自分」という2人が、ここに生まれるのです。
例えば、人前で泣いている人を見たとします。
「自分」はどうあるべきでしょうか?
– 素直に共感して、もらい泣きしそうになる自分
-「みっともない」「甘えてる」と不快感を覚える自分
この「ふたりの自分」が考えられそうですが、実際のところ、どちらの「自分」も間違っていません。片方が「あるべき、良い自分」で片方が「間違った、悪い自分」ではなくて、答えはいつも「両方あり」なのです。
自分を「べき」理論で強制的に「違う自分」にしようとするのが、苦しくなる原因なのです。
「和解」「再婚」そして「ハッピーエンド」
「ふたりのロッテ」の両親は和解の後、再婚し家族はまたひとつになりました。
めでたし、めでたし、です。
私たちの「ふたりの自分」もそうならないかな?…と思いますよね。
なります、もちろん!
ここで、簡単なワークをしてみたいと思います。
「ふたりのロッテ」のパターンをなぞりつつ、自分の中にいる「ふたりの自分」を幸せにしてあげましょう!
ここでは、ワークの例として、上述の「人前ではおとなしくしなさい」を使いますが、この例をもとに、後で自分の心に強く残っている事例で、実際にやってみてください。
ロッテたちの両親の離婚は、すれ違いと誤解が原因でした。
「和解」するために、まずは「誤解」を解きます。
つまり「大人からの注意は誤解であり、自分は間違っていなかった」ということです。
その時の自分は、その大人から見て「正解」ではなかったかもしれませんが、「自分にとっては正解」だったのですから、これを訂正していきます。
では、実際にワークを見ていきます。
「人前ではおとなしく」と言われたということは、家族や友人といった、親しい人と一緒の時は「元気でよく喋る子」だった、と思われます。

<誤解>は黄色でマークした部分。
大人から(不当に)受けた「否定」です。
<和解>は青でマークした部分。
「誤解」を否定する「肯定」で、自分を認めます。
<再婚>は「赤マーク」と「青マーク」を融合した緑のマーク。
注意や忠告を受け入れつつ、自分本来の在り方も否定せずに両方を同時に受け入れる「受容」です。
<ハッピーエンド>は文章全部。
自分のために、良かれと思って言ってくれた大人に感謝し、それに応えようと努力した自分を褒めてあげます。ピンクでマークした「自分で判断できる」は、「受容」の先にある「自己責任」です。
ハッピーエンド
「ハッピーエンド」でマークした「自分判断できる」は「自己責任能力の肯定」です。
他人の意見はありがたく聞く。
自分の感情や感覚も決して無視せず認める。
最終的にどうするかは『自分』で決める。世界にたったひとりの「自分」は、それだけで大切な愛すべき存在 です。
私たちの「ハッピーエンド」は、自分を肯定し信じるところから生まれます。– 周りを蔑ろにすることなく、 感謝はしても迎合しない。
– 自分の個性を認め、大切にし、愛情を注ぐ。
– これまで積んできた経験や学んだ知識、そして人としての良識や判断力を、肯定、承認する。私たちの人生のハッピーエンドは「自分らしく生きる自由」です。
ぜひこのワークを試して見てください。
きっと「自分のハッピーエンド」が見えてくるはずです。
自分のユニークさを知って、それを活かして自己実現しませんか?
「周りは『自分』をどう見ているのか?」という『盲点』に着目して自己理解を深めます。。
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